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日本橋魚市(魚市場・魚河岸)は、江戸の名所として「江戸図屏風」(江戸初期)や『江戸名所図会』(1837)にも描かれ、錦絵の題材にもなっています。NO.54、NO.99、NO.124にも魚市について書きましたが、今回の「日本橋眞景ならびに魚市全図」には、広範囲の魚市の光景と、魚介類の運搬船が多数描かれています。 |
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中央を右から左へ流れる日本橋川には日本橋が見え、橋の手前(北岸)に人々で賑わう魚市があります。本船町・安針町・長浜町・本小田原町・瀬戸物町など、日本橋と下流の江戸橋の間の日本橋川北岸一帯が日本橋魚市で、向う岸(南岸)の四日市町には塩魚や干魚を扱う塩魚問屋があり、本材木町には「新場」とよばれる魚市場がありました。 |
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日本橋魚市の魚介類は、どこから運ばれてきたのでしょうか。『江戸繁盛記』(1832)によると、遠州(静岡県)・豆州(静岡県)・相州(神奈川県)・房州(千葉県)・上総(千葉県)・下総(千葉県・茨城県)の海から、毎日幾万の魚介類が運ばれてきて、江戸人の腹中におさまったとあります。
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運ばれてきた魚介類を同書の記載順にあげると、カレイ・スズキ・アジ・ボラ・フグ・アンコウ・ヒラメ・カナガシラ・ホウボウ・マグロ・ハモ・タコ・ヘイケガニ・コチ・サワラ・イシモチ・エイ・ナマコ・イカ・コノシロ・イワシ・コハダ・サバ・シジミ・ハマグリ・アカガイ・アワビ・サザエ・タイラギ・イガイ・ミルクイ・サメ類4種・エビ類7種・クジラ・サケ・タラ・タイ・タチウオなどの海産魚介類です。
18世紀には江戸で人気のカツオ、安永改元(1772)ころから安価で庶民に人気のサンマ、出世魚のブリ、振り売りも多かったアサリなどの名が見当たらないのが気になります。
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