四季で楽しむ江戸グルメ

更新日:2022.11.18

煮込みおでんと歌舞伎

おでんで熱燗という季節の到来である。おでん(御田)の名は田楽豆腐を略した田楽に由来する。豆腐に味噌をつけて串焼きにしたものを田楽といっていたが、やがて蒟蒻の田楽も生まれた。そして、蒟蒻の田楽を火で焼かずに湯の中でゆで、味噌をつけたものをおでんというようになった。これに里芋も加わった。

蒟蒻や里芋のおでん売りが「おでんやおでん、あまひとからゐ おでんやおでん」などといって江戸の町を売り歩いていたが、やがて煮込みおでんが現れた。

明治3年3月に河竹黙阿弥作の『樟紀流花見幕張(くすのきりゅうはなみのまくはり)』(慶安太平記)が守田座で上演された。由井正雪が丸橋忠弥をはじめ多くの浪人を集めて幕府の転覆を計った慶安事件を題材にしたもので、その四幕、江戸城外堀端の場は、葭簀圍(よしずかこい)の出茶屋(でぢゃや)に「床几二脚並べ△○□等(ら)中間(ちゅうげん)にて腰を掛け、朝顔茶碗で盛切(もつき)り酒を飲んで居る」ところから始まる。

△重役の旦那方が柳橋や今戸へ行つて、芸者をあげて呑(のま)つしやるのも、又こちと等(ら)が腰を掛け煮込みのおでんで、斯(か)うして呑むのも旨(うめ)へ味は同じことだ。

○そりやあ川長や梅川、又大七や有明楼と一ッにやあならねえが、酔つてしまやあ旦那方だつて、こちと等(ら)だつて替りはねえ。

□喰ひつけねえ物を喰ふより、やつぱり煮込みの蒟蒻や芋でぐいぐい呑むはうが、気がそらなくつてよぽど旨(うめ)え。

と煮込みおでんで酒を飲んでいる。そこへ酔っ払った丸橋忠弥がやってきて、茶屋の床几に腰かけ、酒を飲み、芋と蒟蒻の煮込みおでんを注文している。

ここでは蒟蒻と芋(里芋)が「煮込み」にされている。煮込みおでんが売られていたことを示す早い例になる。煮込みおでんは歌舞伎の世界にお目見得した。
煮込みおでんが生まれると、おでんといえば煮込みを意味するようになり、具材も豆腐、里芋、蒟蒻に加え、はんぺん、すじ、がんもどき、玉子等々、レパートリーが豊富になった。

おでん
監修・著飯野亮一

里芋(左)と、蒟蒻(右)
料理紹介

【田楽味噌】

<1>
赤味噌 大さじ3杯
砂糖  大さじ2杯
味醂  大さじ1杯

<2>
白味噌 大さじ3杯
砂糖  大さじ1杯
味醂  大さじ0.5杯
酒   大さじ0.3杯
卵黄  1ケ

《調理方法》
鰹だし8杯、濃口醤油1杯、味醂1杯、昆布少々を茹でます。
お勧めの日本酒
  • 純米大吟醸 八海山 雪室貯蔵三年
    自然の力を利用して酒を熟成するという、新しい発想に挑戦しています。
    降雪量の豊富な魚沼の地に古くから伝わる低温の食糧貯蔵庫「雪室」を酒造りに活かし、大量の雪を収納した蔵の中で熟成させました。三度前後という低温が雪によって安定的に保たれます。この環境で三年の歳月をかけまろやかに育った酒です。

    純米大吟醸 八海山 雪室貯蔵三年 紹介サイト
  • 大吟醸 八海山
    毎年毎年、最高の酒を造りつづけることで磨いてきた蔵人の技。
    この酒のために選び抜いた山田錦と五百万石を45%にまで精米し、すべて手づくりの麹と、八海山の雪解け水が湧水となった「雷電様の清水」で醸した大吟醸。
    細かくまろやかで綺麗な味わいに、ほのかに感じる上品な甘やかさが料理を引き立てる、少し高級な食中酒です。

    大吟醸 八海山 紹介サイト

ホーム > 最新情報 > 四季で楽しむ江戸グルメ