建替え現場から

新劇場の舞台用「百年檜の運搬」

 新劇場の舞台に使われる丹沢の檜、2回(「1200本の百年檜」「百年檜の伐採」)に亘りご紹介してきましたが、今回は「檜の運搬」についてご紹介します。

新劇場の舞台用「百年檜の運搬」


 上の写真は山を行き交うヘリコプター・・・歌舞伎座の建替えに関係があるのだろうか?と感じる読者の方も多いのではないでしょうか。実はこれ、丹沢の山深く標高750m~800mの場所で、新しい歌舞伎座の舞台用として伐採された檜がヘリコプターで麓まで運ばれている様子です。通常、伐採した材木を集める方法として、空中にロープを張り伐採した材木を集める手法を用いる事が多いのですが、歌舞伎座で使う檜の数は1200本、こうした規模と限られた時間内での作業から、ヘリコプターで集積する方法が採用されました。

 作業は4月中旬~5月末まで、10日間程かけて行われました。まず山頂で6~7名が伐採された檜にワイヤーを巻きます。その後ヘリコプターから吊るされたロープの先のフックに檜のワイヤーを掛け、1本ずつ丁寧に引き揚げていきます。丸太は概ね9m~12m、重さは500kg~600kgと大きなもの。危険を伴う作業ですが、安全にかつ迅速に作業が行われていきました。

新劇場の舞台用「百年檜の運搬」
「フックマン」と呼ばれる作業員がヘリのフックを丸太に繋ぎます(写真左) 慎重に檜を吊り上げていきます(写真右)


 約1分間の飛行で麓まで移動した檜は、パイロットの操作でフックを外され「土場」と呼ばれる集積場に下ろされます。1日の作業で約150本~170本の檜が運搬されますが、その後は「土場」で4m40cmの長さに切り揃えられ、トラックで1日に60本程が運び出されていきます。

 山間部は風が強く、事故防止のため天候に充分に気をつけて行われた運搬作業もようやく終了。運び出された檜は三重県へ向かい、これから製材工程を経て、歌舞伎座開場の時を待ちます。

新劇場の舞台用「百年檜の運搬」
檜の集積場「土場」(写真左) 檜は4m40cmに切り揃えられます(写真右)

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