建替え現場から

スマートファクトリー

このところ歌舞伎座の高層タワーが、「ものすごい勢いで高くなっていくね」とよく言われますが、そのスピードはいったいどうやって?
今回は、その仕組みを少し紹介します。

その秘密の一端は、清水建設で「スマートファクトリー」と呼ばれているスペースにありました。
工事現場内にも大きな看板が掲げられていて、その意味するところが明確に示されています。(下の写真)
ポイントは、「複合的に組み立て」て「合理的に輸送」。
つまり工事現場内に、ある複合ユニットの組立基地を設け、そこから現場の最先端に、タイムリーにそのユニットを供給すること。

スマートファクトリー

今回の建替え現場では、5階部分に「スマートファクトリー」が設けられ、そこで「フロアユニット」が組み立てられています。
この「フロアユニット」自体も、"スピード"の理由となる一つの工法。
フロアの床(=下層階の天井)をいくつかのユニットに細分化、そこに配管やダクトなどの一部設備までを組み込んだ構造体が「フロアユニット」。
後から床や天井に、各種の付属物を取り付ける手間が省けるので、なるほど合理的です。

スマートファクトリー


実際に5階の「スマートファクトリー」をのぞいてみると、規模といい設備といい、まるで一つの工場です。
繁雑な建築現場とはいえ、ビルの内部とはとても思えず、11の製作ヤードで「フロアユニット」が整然と組み立てられていました。
そして目の前には、将来の劇場屋上庭園となる開けたスペースが。
組み立てられた「フロアユニット」は、そのままこのスペースにスライドするように運ばれ、タワークレーンで次々と上層へ吊り上げていきます。
鉄骨を組み上げた枠の中に、プラモデルのように1フロアあたり19の「フロアユニット」がはめ込まれていく・・・。
綿密なスケジュール管理のなせる業ですが、これにより、ほぼ1週間で1フロアのスピードで建ち上がっていきます。

スマートファクトリー

一方、「スマートファクトリー」のすぐ脇、劇場部分の大屋根では、全く対照的な作業が行われていました。
写真のように、すでに歌舞伎座の特徴ともいえる瓦を葺き始めていますが、こちらはすべて人手の作業です。
この瓦工事は12月末ごろまで続き、最後に、鬼瓦など特別な瓦が竣工直前に取り付けられる予定です。
「瓦」製作開始

スマートファクトリー

2012年4月3日

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