建替え現場から
外装モックアップ
現在、上層階の鉄骨組立が進んでいる建替え現場ですが、並行して外部の様々な場所でも関連する検証作業が進んでいます。その中でも今回は、清水建設東京木工場内に造られた「建物外装モックアップ」をご紹介します。
モックアップとは、原寸大模型のこと。慣れ親しんだ第四期歌舞伎座の意匠を継承する次期新劇場ですが、それでも、従来建材とは異なる材質による質感の違いや、歌舞伎座のカラー、白や赤の色調の度合いなど、やはり原寸大で外の光の下で確認する必要がありました。
写真のとおり、作製したのは、正面右手側の入母屋破風の屋根から2階にかけての部分。それでも高さが約9mで屋根部分の幅も約9m、用いられた部材は一部を除き、可能な限り新劇場で実装されるものが使用されています。
青空の下、現物を目の当たりにして、そのスケールと迫力に圧倒されるとともに、思わず懐かしい劇場の雄姿に見入ってしまいました。
青空に映えるモックアップの雄姿!人が立っている場所は2階に位置するので、実物はかなり低い所から見上げることになります。
壁や組物、金物と欄干の色、また、部材の質感や仕上げに加え、「歌舞伎の殿堂」をいかに表現できるか・・・。天候による光の加減など様々な条件の下で何回も検証を重ね、工程手順も確認、我々を含め、設計者、施工者にとっても、歌舞伎座の意匠のディテールを決定するには欠かせない作業となりました。
建造には約3ヶ月を要したモックアップですが、その役割を十分に終えました。
写真では分かりづらいかもしれませんが、組物の白やいぶし銀の瓦が色鮮やかに目を引きつけます!