建替え現場から
メガトラスあらわる!
巨大な梁(はり)「メガトラス」(赤枠部分) (2011年12月28日撮影)
地上29階建ての高層複合ビルとして、現在建替え工事を行っている歌舞伎座。その上層階を支える巨大な梁(はり)「メガトラス」を紹介します。 |
| 「トラス」とは、鉄骨などの建築部材を三角形に組み合わせた構造形式のこと。 力を分散し、部材のたわみ・変形を防ぐ性質があるため、剛性に優れていて、"東京タワー"や"東京ゲートブリッジ"など、鉄塔や鉄橋などに多く使われています。 |
歌舞伎座は、1階から4階までが舞台や客席などの吹き抜けで、その高さは約20m。 柱のない大きな劇場空間と、その上に建つ超高層オフィスタワーをしっかりと安全に支えるために採用されたのが「メガトラス」です。 わかりやすく言うと、歌舞伎座の上に大きな鉄橋を乗せ、その上に29階のビルというイメージでしょうか。 |
メガトラスの底辺部(赤枠)が最初に掛けられた時の工事風景 (2011年11月2日撮影)
歌舞伎座の「メガトラス」は、全体で高さ12m、長さ38m、総重量は約1,600トン。 施工会社の清水建設によると、高層ビルに使用したものとしては日本最大級で、東日本大震災級の大地震にも耐えられる構造になっているそうです。 |
左は「メガトラス」の上に人が2人乗っている写真ですが、その大きさと比べてみると、いかに巨大な構造物であるかわかっていただけるのではないでしょうか。 この「メガトラス」に使用されるのは、厚さ85~90mmもある高強度鋼材。そのため、特に溶接はとても大変な作業となります。 部材同士を接合するにも何層にも分けて溶接する必要があり、一番大きな部材では、一人の溶接工が3日間かけて作業。 「メガトラス」全体での溶接長さは40,000mを超え、フルマラソン並みの距離になります。 |
外壁がつけば、外からは全く見えなくなってしまいますが、こうした建築技術が随所で新しい歌舞伎座を支えています。 |
(2012年2月13日撮影)
2012年2月21日