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【本膳 】
卸膾(鮭氷頭・ぶりこ・ほや・ふのり・輪切みかん)
濃醤(赤貝)
汁(白鳥・山芋・五分菜)
飯、香の物(瓜・茄子)
【三の膳 】
(焼物膳)
鮭子籠(さけこごもり)
【二の膳 】
汁 鱈 ゆ(柚子)
鮒煮こごり
水和(するめ・くり・しょうが・大根かつら)
調理は歌舞伎座紺野料理長、器提供:つきじきむら漆器店
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 今回は10月公演の「伽羅先代萩」にちなんで、伊達家正月料理の一部を再現しました。
 私は20年ほど前から、仙台藩の料理人橘川房常の書いた『料理集』(1733年成立)や『伊達家年中行事記録』などの研究を通して、仙台藩の食文化には関心がありました。その後平成3年から伯養軒・仙台ホテル主催の古典料理研究会の会員となり、伊達泰宗氏もご一緒のこの会で、平成9年まで20回の仙台藩の料理を再現する研究会に参加しました。

 平成4年には『伊達家年中行事記録』によって伊達家正月料理の再現も行ないましたが、その中の元旦の膳部三汁十六菜から料理を選び、二汁五菜にまとめ、歌舞伎座調理部で再現しました。
 鮭・鮭氷頭(ひず)・ぶりこ(ハタハタの卵)・ほや・ふのりなど東北地方の産物を使った二汁五菜は、食材の組み合わせの妙もあって、現代に通じる江戸時代の美味を再現できたように思います。残念なのは料理を盛る食器や膳などが揃わなかったことで、膳などをお借りしたり、写真撮影には苦労があったようです。
注)
* 濃醤(こくしょう)は、薄塩のみそを濃くといて、魚・貝・鳥・野菜などを煮る汁の多い煮物。
* 汁の白鳥は、再現では鶏肉を使用。
* 水和(みずあえ)は、するめ・煎海鼠(いりこ)・干鱈などの乾物を水につけて戻し、野菜類を取り合わせ、煎酒や煎酒酢で和えたなます。
* 鮭子籠は、鮭塩引(鮭の塩蔵物)のうちで、腹に卵巣(すじこ)を詰めて作ったもの。
 
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
>>松下教授プロフィール
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