芝居見物といえば「かべす」といって、一般客には菓子・弁当・すしが付き物でした。
幕末の『守貞漫稿』には、天保(1830-44)頃までは芝居小屋で出す菓子は編笠餅だったが、近年は美製菓子を用いるようになったとあります。編笠餅は米粉の中に白砂糖あずきを挟み、二つ折にしたものと説明してありますから、柏の葉で包まない柏餅のようなものでしょうか。 |
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また饅頭も芝居小屋でよく使われています。顔見世などの特別興行の時には、役者に贈られた品物を、芝居小屋の木戸の前に積み上げて披露する、積物(つみもの)という慣習が江戸時代からありました。現在は酒樽に限られていますが、江戸時代には酒樽のほか、米俵、炭俵、醤油樽、蒸籠(せいろう)などが積まれました。
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蒸籠は木の枠の底が簀(す)の子になっている蒸し器で饅頭を蒸すのに使うものです。芝居小屋は饅頭屋にとって大切な市場なので、中村座、市村座に出入りの、日本橋和泉町の饅頭屋虎屋は両座の特別興行には蒸籠を積むのが慣習になっていました。
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