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桜の花をめでる花見は、豊臣秀吉の吉野の花見(1594)や、醍醐の花見(1598)など、桃山時代から盛んでしたが、江戸時代には庶民生活に欠かせない行事になりました。
江戸の桜の名所は、初めは上野でしたが、8代将軍吉宗が庶民の行楽のために、飛鳥山、品川の御殿山、隅田川堤、小金井堤などに桜を植えて花見の名所としました。
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中でも王子の飛鳥山には、享保5、6年(1720、21)に、多くの桜の苗木を江戸城内から移植したので、苗木の成長と共に上野をしのぐ花見の名所となりました。
当時の桜の品種は、山桜や江戸彼岸が主でしたが、現在の桜の大半は明治以後に全国に広まった染井吉野ですから、花の眺めにも移り変わりがあるようです。
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花見には弁当が付き物で、落語には「長屋の花見」があり、酒は番茶で、かまぼこは大根の漬物で、玉子焼はたくあんで代用する話です。一方で『料理早指南』(1801)には、豪華な花見の重詰の作り方が記されています。
重詰の料理は上中下の3種類がありますが、上の部は次のようなものです。 |
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一の重 |
かすてら玉子 わたかまぼこ わか鮎色付焼 むつの子 早竹の子旨煮
早わらび 打ぎんなん 長ひじき 春がすみ(寄物) |
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二の重 |
蒸かれい 桜鯛 干大根 甘露梅 |
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三の重 |
ひらめとさよりの刺身に、しらがうどとわかめを添え、赤酢みそを敷く |
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四の重 |
小倉野きんとん 紅梅餅 椿餅 薄皮餅 かるかん |
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割籠(わりご) |
焼飯(焼むすび) よめな つくし かや小口の浸物 |
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注 1) |
“わたかまぼこ”はアワビの青わたを入れて作ったかまぼこ |
注 2) |
”割籠”は中に仕切りのある木製弁当箱 |
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