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歌舞伎の「外郎売り」は、小田原名物の薬の外郎を、早口言葉で宣伝します。外郎は透頂香(とうちんこう)という薬の別名で、痰切りや口臭消しに効能があり、小田原の外郎屋で売られていました。上の絵の「ういらう」も薬の外郎です。
菓子の外郎は薬の口直しのために作られたもので、色が薬の外郎に似ていたため名付けられたといいます。
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外郎餅(菓子の外郎)は、米粉と砂糖をこねて蒸した棹物として知られ、現在も小田原や名古屋の名物になっています。
江戸時代には薬と菓子の両方が小田原の名物だったようで、『東海道中膝栗毛』初編(1802年刊)には、小田原の宿の外郎屋で北八が「ういろうを餅かとうまくだまされてこは薬じやと苦いかほする」という場面があります。
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江戸時代の料理書『合類日用料理抄』(1689刊)には、別の外郎餅の作り方が次のように書かれています。「粳(うる)上白米七合粉 餅米上白三合粉 白さたう少 まず二色の米一つに合せ半分ずつ取わけ 一方はくちなしの汁にてこね 一方は水にてこね はらはらの加減にし 米通し荒きにてふるひ せいろうの内へ入むし申候 黄色と白色との間に美濃の釣柿を薄くへぎならべ むせ申候時せいろうよりあけ 板の上にてさまし 切申候」
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粳上白米はうるち米、釣柿は干し柿です。砂糖は切ってから上に振りかけます。この作り方の外郎餅は『古今名物御前菓子秘伝抄』(1718刊)にもあり、江戸時代の外郎餅は2種類あったようです。なお、この第二の外郎餅は試作してみましたが、簡単に作ることができます。
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