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江戸自慢三十六興 東叡山花さかり
歌川広重画 歌川豊国筆
国立国会図書館所蔵
 東叡山(とうえいざん)は寛永寺の山号です。東叡山寛永寺は江戸時代初期に、上野の山に徳川将軍家の菩提所として造られました。寛永2年(1625)に本堂が完成してから、東照宮、清水観音堂、五重塔その他が次々と建立されて、その境内は広大でした。
 明治元年(1868)の彰義隊の戦いで、ほとんどが焼失し、その跡地が現在の上野公園、国立博物館などになっていますから、江戸の東叡山寛永寺の広さが想像されます。

 
 『江戸名所花暦』(1826)は、桜の名所の第一に東叡山をあげ、「当山は東都第一の花の名所にして、彼岸桜より咲き出でて、一重・八重追々に咲きつづき、弥生の末まで花のたゆることなし。」としています。弥生は3月ですが、現在の暦では4月頃です。
 
また、東叡山にある多種類の桜の品種として、彼岸・三吉野・水上・山桜・籏桜・楊貴妃・都・浅黄・虎の尾・犬桜などをあげています。
 東叡山の花見は、寛永寺境内での花見なので、鳴り物はご法度、暮六つ(現在の18時ごろ)には下山させられるなど規制がきびしかったそうです。
 上の錦絵の右端には重箱が見え、これから花見の宴が始まるようです。NO.9では『料理早指南』(1801)から花見重詰の上の部を紹介しましたが、中の部は次の通りです。
一の重 蒲鉾 車海老鬼殻焼 鱚(きす)照煮 長芋 わらび つまみ麩 むきくるみ
二の重 むつ刺身(酢みそ・小唐辛子) 三月大根短冊 貝割菜 
はりはり大根 うど 嫁菜
三の重 唐の芋の子(里芋) 烏賊と蕗煮つけ(上に木の芽おく)
四の重 おぼろ饅頭 山椒餅 蓬のしんこ(藤の花) 花ぼうろ せんべい
 監修・著 松下幸子千葉大学名誉教授
>>松下教授プロフィール
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