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和菓子の中で、水分が少なく保存のきく菓子を、餅菓子や饅頭などの生菓子に対して干菓子(ひがし)と呼びます。
江戸時代にも干菓子の種類は多く、落雁(らくがん)・おこし・有平糖(あるへいとう)・金平糖・煎餅(せんべい)類・飴類などがありました。
中でも落雁は干菓子の代表的なもので、現在でも各地に名物の落雁が見られます。 |
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落雁は、米などの穀類を炒って粉にし、砂糖や水飴を混ぜて木型に入れ、押し固めて作る菓子の総称で、穀類の種類によって麦落雁・豆落雁・粟落雁などの種類があります。また使う木型によって、いろいろの形の落雁がありました。
『合類日用料理抄(ごうるいにちようりょうりしょう)』(1689)の落雁の作り方の中に「菊 扇 草花 生(しゃう)類いろいろを彫りこみたる木の型」とあり、1800年代の文化文政期には、大型の精巧な木型が彫られ、彩りも美しい豪華な落雁も作られたようです。 |
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落雁の名の由来には諸説ありますが、『類聚名物考(るいじゅめいぶつこう)』(1780成立)に「今らくがんという菓子あり。もと近江八景の平沙(へいさ)の落雁より出し名なり。白き砕米に黒胡麻を村々とかき入れたり。そのさま雁に似たればなり」とあるのが通説のようで、黒胡麻が点々とあるのを、地上に降りた雁に見立てたものです。 |
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おわりに江戸時代のタマちゃんの話。『和菓子おもしろ百珍』(中山圭子著・2001年刊)の中に「あざらし落雁」があります。『名陽見聞図会』(1836成立)によると、熱田(愛知県)の浜で生け捕りになったあざらしが、見せ物として話題を集め、土細工のあざらし人形、あざらし手ぬぐい、そしてあざらし形の落雁も作られたのだそうです。 |
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注) |
江戸時代の煎餅の材料は、米粉よりも小麦粉が主流でした。 |
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