上の絵は顔見せの芝居の日の桟敷の人々の様子を描いており、左側には揚帽子をかぶった女性2人が見えます。揚帽子は上流家庭で物見遊山のときに塵(ちり)よけにかぶったものです。
中央の2人の客は服装からみて花柳界の人のようです。後には茶屋の女が、運んで来た酒の銚子を受け取っており、料理の皿も見えます。手前には山盛りの蜜柑と、菓子の盛り合わせらしいものがあります。
現在では蜜柑といえば温州(うんしゅう)蜜柑ですが、江戸時代の代表的蜜柑は紀州蜜柑でした。香りも味もよい蜜柑ですが、果実が小さく種が多いので、明治中期以降は温州蜜柑が代表種になりました。
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