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絵には刺身をつくる女性が描かれていますが、刺身は鮪の赤身、右側に赤い器、女性の衿や袖口の赤い色などがあり、画題に「赤 浮世五色合」とあるように、赤が主題の絵です。
細字で書かれた文章は上部が欠けていますが、冒頭には「赤人(あかひと)は歌の聖(ひじり)にて。赤松は知勇の士(もののふ)なり。酒をあかといひ度(たき)時は赤の飯(いひ)。緋扇かざす緋桜とは執着(しうじゃく)に、あかいはあかいあかいは珊瑚珠歌とは。鷲の段に語れり」とあります。
続く文章の中にも、緋の衣・緋鹿子・紅葉・赤手拭・赤阪・口紅・赤穂・赤団子・赤前垂・寒紅梅などがあり、緋、紅、赤など赤色に関連した名が見られます。
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これらの中から赤のついた飲食物をとり上げると、あかという酒、赤の飯、赤団子があります。酒の名のあかは、漢字で閼伽と書き、仏に供える水のことですが、僧侶仲間では隠語で酒のことをあかと呼びました。赤の飯は赤飯(せきはん)のことで、糯米に煮た小豆またはささげと、その煮汁をまぜて蒸した赤い飯でおこわともいいます。『貞丈雑記』には「強飯(こわめし)というは白こわめし也。赤飯というは赤小豆を交たるこわめし也」とあります。赤い色は邪気をはらい、厄除けの力を持つと古くから信じられていて、日本では祝い事には赤い色を使います。小豆はその赤い色から赤飯をはじめ小豆粥、小豆飯などとして行事食に用いられています。赤団子は名は食べ物のようですが、草団子に使う蓬(よもぎ)を乾燥して灸のもぐさに使い、もぐさを丸めて火をつけるところから、灸のことを子供には赤団子といったのだそうです。
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絵に描かれた戯文の作者小三馬(こさんば)は、「浮世風呂」などで知られた式亭三馬の子で、父は初代豊国と親しく、小三馬は三代豊国(絵にある二代は実際には三代)と親交がありました。
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