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五十三次の鞠子(現在の静岡県丸子)の宿の献立は「麦飯、とろろ汁、太刀魚の雪花菜(きらず)焼、野菜の煮物、あちゃら漬、菓子は安倍川餅」です。鞠子のとろろ汁は、芭蕉の「梅若菜まりこの宿のとろろ汁」の句から有名になったといわれています。
とろろ汁は、現在は一般に醤油味ですが、江戸時代はおもに味噌仕立でした。今回は味噌を用いましたがとてもおいしく、味噌もとろろ汁にあうことがよくわかりました。
とろろ汁の材料のヤマノイモは自然薯(じねんじょ)で、ナガイモは薯蕷(じょよ)であり、同じヤマノイモ科でも別の種類です。ナガイモは栽培種で品種が多く、長薯・いちょう薯・徳利薯・大和薯・豊後(ぶんご)薯などがあります。
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太刀魚の雪花菜焼は、東海道の名物ではありませんが、魚肉とおからが材料で、現代人の嗜好にもあう江戸時代の料理なので、復活させたい願いもあって献立に加えました。
作り方は『豆腐百珍続編』(1783)に「太刀魚の炙物(やきもの)」として次のように書かれています。「大たち魚を三片(まい)におろし、肉の方をうす塩あて、生の雪花菜に少し塩をまぜ合せ、右の肉を鮓につけ、圧石(おもし)をよくかけ一夜ほどをきてとり出し、雪花菜を払はずそれながら炙なり。」太刀魚を3枚におろして薄塩をあてておき、おからに塩少量をまぜたものを、魚肉の両面に付けて、おもしをしてよく接着させて焼くということですが、フライパンに多目に油を引いて両面を焼くと美味です
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あちゃら漬けは、ペルシャ語のアチャル(漬物)が、ポルトガル人によって伝えられたのが語源とされ、現在は野菜の甘酢漬ですが、江戸時代には魚介類も用いていました。
安倍川餅は、安倍川の辺の茶店で売り始めたもので、焼いた切餅を湯に浸して軟かにし、砂糖をまぜた黄粉をまぶしたもので、後には餡をつけたものも作られるようになりました。
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