江戸時代には将軍から貧しい人々まで正月には雑煮を祝うようになりますが、その内容は地域により違いがあったようです。現在でも東日本は角餅で清汁仕立、西日本は丸餅で近畿を中心に味噌仕立が特色とされていますが、これは江戸時代からで『守貞謾稿』(1853)には次のように書かれています。
「今世京都の雑煮戸主の料には必らず芋がしらを加ふといへり。大坂の雑煮は味噌仕立也。五文取ばかりの丸餅を焼き、これに加え小芋・焼豆腐・大根・乾あわび・およそこの五種を味噌汁に製す。江戸は切餅を焼き小松菜を加え、鰹節を用ひし醤油の煮だし也」。五文取は一つ五文で売っていた餅のことです。
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