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コチは鯒と書き、普通はコチ科のマゴチをさし、夏から秋に美味な魚です。頭も体も上から押しつぶしたように扁平で目が小さく、見た目の悪い魚ですが、淡泊な味の白身は美味で、フグの代用にもされています。
江戸時代料理書の評価も上から中で、『和歌食物本草』(1630)でも「鯒あまく平(へい)のものなり胃を開く五臓を利して人肥やす也」とあります。
また「鯒の頭は嫁に食わすな」ということわざは、コチの頭部は骨ばかりに見えるが、頬の肉は格別の美味であるからといいます。
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よく天ぷらにする魚にメゴチがありますが、これは関東地方の呼び名で、コチ科ではなく、ネズッポ科のネズミゴチまたはノドクサリというハゼに近い魚です。コチ科にもメゴチがあり、魚の名はわかりにくいものです。マゴチは、あらいや薄作りなど生食がよく、ちり鍋にも適しています。
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茄子はインド原産で、わが国には奈良時代に伝来しています。江戸時代には品種の分化も進んでいて、『農業全書』(1697)には「茄(なすび)に紫白青の三色あり。また丸きあり、長きあり。此内丸くて紫なるを作るべし」とあります。
茄子は漬物にしたり、煮る、焼く、揚げるなど多様な料理法がありますが、『料理物語』(1643)にも「汁・さしみ・丸煮・和え物・香の物・しぎ焼・切りぼし」と多様な料理法があげられています。
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茄子には「秋茄子は嫁に食わすな」のことわざがありますが、姑の意地悪ではなく、茄子を食べると体が冷えるので、嫁をいたわるものともいわれています。また、初夢に見ると縁起がよいものとして「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」というのは、徳川家と縁の深い駿河国の名物を並べただけのものともいいます。
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