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この絵は広重の「魚づくし」シリーズの1枚で、イナダとフグに梅の1枝が添えられ、梅の咲き始める頃の寒い季節においしい魚であることを示しています。
イナダは成長の時期によって呼び名が変わるので出世魚といわれるブリの一時期の名です。一般に東京では、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと変化し、大阪では、ツバス、ハマチ、メジロ、ブリで、地方による違いもあります。また現在ではハマチといえば、養殖ブリをさすことが多いようです。
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食文化からみると、ブリは西日本の魚食文化を代表する魚として、東日本のサケと比較される魚です。地域による違いはありますが、正月の年取り魚として、東日本は塩ザケ、西日本は塩ブリが、年越しの膳につけられたり、雑煮に入れられたりしており、その接点は長野県あたりといわれています。 |
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フグはフグ科の魚類の総称で、世界では100種以上、日本近辺には約50種があり、現在食用とされるのは、トラフグ・ショウサイフグ・アカメフグ・サバフグなどの20種くらいです。フグは肝臓や卵巣にテトロドトキシンという猛毒が含まれており、江戸時代にはフグを食べて中毒死する人が多かったようです。そのため値段も安く下魚とされ、庶民も食べる魚でした。
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フグは当たったら命がないところから鉄砲とも呼ばれ、フグのちり鍋は鉄ちりといいます。川柳にも「飲み仲間一人死んだで酔がさめ」「片棒をかつぐゆふべのふぐ仲間」などがあります。『料理物語』(1643)には、ふぐ汁の作り方がありますが、「皮をはぎ わたをすて かしらにあるかくしぎもをよくとりて 血のけなきほどよく洗ひ(後略)」と毒を除く注意が詳しく書いてあります。
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