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絵は前回のNO.116の錦絵と同じ「二十四好今様美人」の1枚で、左上には「料理好」として「いきで こうとで また小いさみで しぶひ うなしの 雑ざかな」とあります。意味はよくわかりませんが、折詰と団扇がありますから季節は夏のようです。
折詰の折箱は、薄い白木の杉板で作ったもので、現在でも料理や菓子の簡便な器として使われていますが、江戸時代には笹折と呼ばれていました。
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『守貞謾稿』(1853)には、料理茶屋の項に笹折が見られ、要約すると「京坂では、料理茶屋は客の人数に見合う量より多く料理を出してもうけようとするが、江戸では近年、会席風と名付けて、人数に見合う量より僅かに多く料理を出し、余った分は笹折に入れて、客が持ち帰れるようにする」とあります。
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絵の右下には、折敷(おしき)に乗せた蓋付きの器と大鉢が見えます。大鉢には汁の多い料理が入っているらしく、傍に散蓮華が置かれています。散蓮華は蓮華とも呼び、柄の短い小さな陶製のさじで江戸時代からあります。散った蓮の花の花弁に形が似ているところからの名といいますが、笹折と共に美しい名です。料理でも食器でも、江戸時代の命名は素敵なものが多いように思います。
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前回に文化14年(1817)の大酒大食の会の大酒の部を紹介しましたので、今回は大食の部の中の飯連を紹介します。
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一、 |
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飯54盃 唐がらし58 |
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浅草 |
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和泉屋吉蔵 73歳 |
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一、 |
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同47盃 |
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小日向 |
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上総屋茂左衛門 49歳 |
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一、 |
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同68盃 醤油2合 |
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三河島 |
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三右衛門 41歳 |
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飯は「常の茶漬茶碗にて、万年味噌にて、茶づけ、香の物ばかり」とありますが、唐がらしと醤油には驚きます。
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