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上の絵には「屠蘇機嫌三人生酔」とあり、屠蘇に酔ってよい気分の3人と、正月の飾り物の繭玉が描かれています。
屠蘇は酒に、びゃくじゅつ・桔梗・山椒・防風・肉桂・大黄などの薬草を刻んで入れた袋を浸したもので、無病息災を願って正月に飲む酒です。明治以後は飲みやすいように味醂も用いられるようになりました。
江戸時代の川柳集『柳多留』にも「とそ袋嘉例のように八ッを聞」の句があり、元旦の午前2時ごろ、とそ袋を酒に浸すのが、おめでたい習慣になっていたようです。
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繭玉については『守貞謾稿』(1853)に、繭玉(まひだま)の図として、上の錦絵と同様の絵があり、「繭玉は土丸(つちだま)を用ひ、その他は厚く重ね張りたる紙製にて、胡粉(ごふん)・丹・緑青そのほかとも彩を加ふ」と解説があります。また江戸では、元日に浅草寺や神社などでこれを売っており、買った人は酉の市の熊手のように天井に釣ると説明しています。
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繭玉は、もとは米の粉で繭の形に団子を作り、木の枝に沢山付けたもので、餅花の1種ともいえるものです。
餅花は正月の飾り物で、柳などの木の枝に餅を小さくちぎって付け、穀物の豊かなみのりを願って神棚や室内に飾ったものです。養蚕の盛な地方では、繭の豊かな収穫を願って繭玉を飾りました。
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餅花も繭玉も、小正月(1月15日)のどんど焼の火であぶったり、小豆粥に入れたりして食べました。
餅花は元禄ごろ(1688-1704)にはあったようで、当時の成立といわれる『大和耕作絵抄』の餅つきの絵の中に、餅花作りが見られます。
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