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片岡千之助くんに贈られた祝幕(追いかけ五枚銀杏にあばれのし)
11月歌舞伎座の顔見世興行昼の部で、片岡孝太郎丈の長男・片岡正博くん(15代目片岡仁左衛門丈のお孫さん)が初代片岡千之助を名乗り、初舞台を踏まれました。一生懸命に若鳶千吉をつとめる千之助くんに、連日客席から大きな拍手が沸いています。
また先だって、九月には中村橋之助丈の三男・宜生くんが、初代中村宜生を名乗り初舞台を踏まれた事は、みなさんの記憶にも新しいことと思います。自分のご贔屓の役者さんのお子さんが初舞台を踏むというのは、ファンにとってうれしい出来事ですよね。歌舞伎の芸の継承という点からも大切なことです。
御祝のお花が勢揃い。
二階ロビーに飾られました。

歌舞伎座一階に設置されたご挨拶の看板
さて、「初舞台を踏む」というのは、改めて申すまでもありませんが、役者として初めて役が付き舞台に立つことを言います。ちなみに、舞台でお披露目だけをするのが「初御目見得」です。初舞台を踏む年齢や、その時の演目・役などはその役者さんによってそれぞれ異なり、二・三歳で初舞台を踏むことも多く、人によっては二十代、三十代で初舞台、という方もいらっしゃいます。小さな子役で初舞台を踏む場合はご本人が幼いため、その時の記憶もあやふや・・・という方もいらっしゃるようですが、歌舞伎役者を志す方々にとってはきっと思い出深い舞台になるのでしょう。
名門の子弟が初舞台を踏む場合は、芝居の途中で父兄や関係者から初舞台の挨拶(口上)が述べられたり、九月の宜生くんの「菊薫縁羽衣」のように、初舞台のための演目が用意されることもあります。
また立ち廻りなどで活躍し、歌舞伎を支えている脇役の役者さんも今年、何人も初舞台を踏まれました。大きく披露されるような機会はありませんでしたが、歌舞伎を支える魅力的な役者となって活躍して下さるよう、エールを送りたいですね。
400年という歴史を持ち、先輩から後輩へと受け継がれてきた歌舞伎伝統の芸とその魅力が次の世代へと伝っていくことを願ってやみません。すべての役者さんの今後の活躍がとても楽しみです。大いに期待しましょう。
江戸時代は名刺代わりに用いられた手ぬぐい。写真は宜生くん・千之助くんの初舞台でご贔屓に配られたものです。

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