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花火大会や夏祭りが開かれるこの時季、古典柄のゆかた姿が目にとまります。そして改めて日本の伝統文様の美しさに気づかされます。 |
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見回してみると、歌舞伎座で目にする古典的な文様には、鳳凰(ほうおう)のほかに菱(ひし)もあります。この文様は、縄文前期の土器にすでに刻まれているそうで、その名は水面に浮いた植物のヒシの葉の形に由来しているといわれます。 |
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菱文は、二方向の平行線が重なってできた幾何学的なモチーフを基本として多くのバリエーションがあります。まずは正面入口の石段、手すり、客席の天井や壁など至るところに使われています。その名称は、四つの菱が集まって一つの菱形を構成する「割菱」(「四つ菱」、また甲斐武田氏の紋章として有名なため「武田菱」とも。)や、菱の中にさらに小さな菱形を入れた「子持菱」、重ねて繋げたものは「違い菱」といいます。「襷(たすき)」は、襷が背面で交わっていることからの連想でこうよばれ、三本が交差する「三重襷(みえだすき)」といわれるものも見られます。 |
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劇場内の菱文は、言わば着物の地文で、そこに配した図柄にあたるのは上演作品。きらびやかであったり、華やかであったり。渋くまとめたり、粋にきめたり。季節感も取り入れています。ごゆっくり、目を楽しませてください。 |
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上:竿縁天井、左中:客席入口、右中:東新館屋外照明、下:入口手すり
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